「はぁ〜・・・」
今日はついてないな〜、て思う。
その沈んだ心情とは対照的に、山に沈みかけている
夕日があまりに美しく感じる。
木野秋、14才。現在、木の上から降りられません。
「秋さんが帰ってこない!!」
今、この施設のなかではこの話題でみんなパニックになっていた。
「そういえば、練習のときからずっといませんでしたよね・・・。」
音無さんがぽつりと呟いた。
「よし、みんな!手分けして探すぞ!!」
円堂君のこの一声により、全員散らばっていった。
外に出るともう既に星が出ており、あまりの寒さに凍えそうになった。
「・・・まさか木野さん、この寒さの中にずっといるのか?」
そう思うと、今彼女はとても不安な気持ちではないのかとよけいに焦ってくる。
でも、どこを探しても彼女の姿は見あたらない。
はっとなって足を止めた。もしかしたら、あそこかも知れないな。
そのまま方向転換すると、走っていった。
ここは街から少しはずれた小さな公園。
以前、買い物をしたときに見つけたんだっけ。
小さくて静かだけど、なんだか不思議と心安らぐ場所。
誰にもここを教えていないんだけど、いつか基山君と
一緒に来たことがあったな・・・。
そんなことをぼぉ、と考えながら手に息を吹きかける。
息は白く染まっていて、そのまま自然と空気に溶けていった。
助けは・・・来てもらえるはずがない。
あまりの暗さと寒さにネガティブな思考に陥っていた。
「木野さん!!」
そう、声が聞こえた。
やっぱりここか・・・。
以前、買い物中の木野さんに街で会って付き合っていた帰りに、
ここを教えてもらったんだ。
しんみりとしているけど、ここから見下ろす景色が好きであれから
一人こっそりと来るようになってたんだ。
木野さんはというと、一本の大きな木の上の枝に座っていてそこから
降りてくる気配がない。降りられなくなってしまったのか。
「木野さん!大丈夫?」
「・・・どうしてここに?」
「ん・・・なんとなく、ね。」
「降りられなくなっちゃったの。」
「うん。」
「この子がいたから。」
よく見ると、木野さんの腕の中には子猫が縮こまっていた。
なるほど・・・ね。その子を助けるために。
「登ってくる分には良かったんだけど、案外高くて。
おまけにこの子もいたから。」
そういうと、腕の中の猫を優しくなでた。
「木野さん。」
「ん?」
「はい。」
そういうと僕は大きく手を広げた。
木野さんは最初きょとんとして僕を見ていたけど、意味を理解したのか
慌てて拒否してきた。
「だ、駄目だよ!そんなことしたら基山君が潰れちゃう!この高さだし!」
「大丈夫。木野さん軽そうだし。」
「そういう問題じゃ・・・!」
「5秒。」
「?」
「その間に飛び降りなきゃ、置いて帰るよ?」
「!!」
「4」
「えっと・・・。」
「3」
「き、基山君のいじわる!」
「2」
「・・・じゃあ、行くから!」
「1」
瞬間、彼女は飛び降りた。
君は僕が受け止める
「・・・」
「・・・」
木野さんが、がばっと起きあがった。
「基山君!大丈夫?!」
「なんとか、ね。」
にっこりと笑ってみせる僕に少し安堵した様子。
「そういえば、猫は?」
「もう行っちゃったよ。」
くすくすと笑う。
「でも、ありがとう。」
「?何が?」
「基山君がこの場所を覚えてくれてて、うれしかった。
それに助けてもらっちゃって。」
そういって笑う彼女に僕も笑い返した。
また長くなっちゃいましたね(笑)
文章をまとめる力が無いんです、自分には。((既に挫折モード
この二人はこっそりと二人だけの秘密をもっときゃいいんだよ←
ヒロトは上手い感じに秋ちゃんをリードしてくれるといいな〜((自主規制
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