「あ〜きっ!」

「ひゃっ!!」

後ろからがばっと抱きつくと、びっくりするでしょって怒られた。

そんな君の顔も好きなんだけど・・・ね。







「で、どうしたの?一之瀬君。」

「ん。秋に試合を申し込みにね。」

「試合?」

ここでさっとサッカーボールを秋の前につきだした。

「サッカー。やろうよ。昔みたいに。」

秋が困ったような顔をしている。それも可愛いな。

「ん〜と。私そういうことはずーっとしてなくて、弱いよ。」

「うん。でも秋とやりたいんだ。」

はぁ、と秋が息を吐く。

「やっぱりそういう強引なところ、変わってないね。」

「そうかな?」

「うん。でも、一之瀬君らしいや。」

あ、笑った。やっぱり秋は笑顔が一番可愛いな。

「それは引き受けてくれたってことでいいんだね?」

「もちろん。負けないよ。」

「じゃ、始めようか。ルールは簡単。先にあのゴールにこのボールを

入れた方が勝ち。OK?」

「分かったわ。」

「それじゃあ、始め!!」

そう言って早速ゴールへ向かって走り出す。

すぐ後ろの方から秋が追いつめてくる。

秋、案外早いんだよな。

ちょっと油断した隙に横からボールを奪われた。

「ふふ、結構やるでしょ?」

「・・・なかなか。」

そう言って秋はその場でくるくるっとヘディングをしてみせた。

「へ〜・・・やっぱり秋は油断できないなぁ。」

「お先に!!」

また不意をつかれたな・・・。一歩先に行かれてしまった。

「はは、俺だって負けないよ!」

秋の前に回り込んだつもりだったけど。

「!しまった!」

もう目の前は既にゴールだった。秋がすかさずゴールへ蹴り込む。

ボールは一直線に見事にゴールへおさまった。

「はぁ〜・・・・負けたよ、秋。」

「もー!一之瀬君真面目にやってた?!」

「俺はいつだって真面目だよ。秋が強すぎただけ。」

「ふふ・・・よく言うわよ。フィールドの魔術師が聞いて呆れるわ。」

「秋って結構言うね。」

ここで思わず腰が抜けて地面へと座り込んだ。

そんな俺に中腰で上から一言。

「私、勝ったんだから、お願い聞いてくれる?」

「その手で来たか・・・秋には敵わないなぁ。」

「私これから部室の片づけをするところだったの。手伝ってくれる?」

「うん、いいよ。それにどうせそれ終わらせないと、秋と一緒に帰れないからね。」

立ち上がって秋の横に並んで歩き出す。

あ、もう夕日が沈みかけているのか・・・。

なんだか疲れたな。でも楽しかった。

また、秋とサッカーできたらいいな。な〜んて。







君とサッカー





「秋、」

「っん?」

「また、サッカーしよう。今度は本気で。」

「・・・本気じゃなかったんだ?」

「・・・はは、」

・・・ただの負け惜しみ、な。










久しぶりの一秋です。今回は暗くなかったですね(笑)
今日新しくED変わってしまいましたが、前回のEDで、秋ちゃんがヘディング
しているシーンを見て思い浮かんだ話です。
秋ちゃん絶対サッカー上手いよね、あれ。
一之瀬が油断してる隙にゴールきめちゃうんだよ、きっと←






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